当院では1型糖尿病の治療にも力を入れています。
1型糖尿病とは
膵臓でインスリンを分泌する機能をもつ「β細胞」が破壊されることによって、インスリンがほとんど又は全く分泌されないことで起こる糖尿病です。本来、身体を守るはずの免疫が自分自身を攻撃してしまう自己免疫反応によって、膵臓のβ細胞を破壊してしまうため起こると言われています。ただ、その根本的な原因は、未だはっきりわかっていません。
1型糖尿病の治療
原則としてインスリン療法が必要不可欠です。インスリンと併用して使用できる内服薬に、αグルコシダーゼ阻害薬とSGLT2阻害薬の2種類があります。前者は、腸管からの糖の吸収を緩やかにするお薬で、後者は尿に糖を排泄することで血糖値を下げる薬です。それぞれ使用上の注意点がありますので、医師に確認してください。
1型糖尿病は2型糖尿病と違い、生活習慣の乱れが原因となるわけではありませんが、食事・運動などの生活習慣が乱れると血糖コントロールがより困難になりますので、健康的な食生活や運動習慣には気をつけていただくと良いと思います。
実際の1型糖尿病の治療には以下のような種類があります。
インスリン頻回皮下注射
ペン型インスリンによる皮下注射療法となります。基本的には、各食事の食直前に超速効型インスリンを注射し、1日1回(もしくは2回)効果の長い持効型インスリンを注射するため、1日に4回−5回の皮下注射が必要となります。
インスリンポンプ治療(CSII療法)
携帯型のインスリンが入ったポンプを用いて持続的にインスリンを注入するインスリンポンプ療法(CSII: continuous subcutaneous insulin infusion)です。メリットは、時間ごとに細やかな基礎インスリンの設定ができ、食事や間食のときにも簡単にインスリンの注入ができます。低血糖が多く血糖が不安定な方や糖尿病合併の妊婦さんには良い適応です。デメリットとしては、医療費が高くなること、ポンプを携帯しなくてはならないことなどがあります。日本では現在、メドトロニック社のMiniMed640Gとテルモ社のメディセーフ・ウィズという2種類のポンプが使用可能です。当院ではどちらも採用しており、使用可能です。
SAP療法
パーソナルCGM機能(リアルタイムに血糖値を見ることができる持続血糖モニター)と連動したインスリンポンプ(SAP:Sensor Augmented Pump)療法もあります。低血糖時にはインスリン注入を停止してくれる機能を持つポンプも使用可能となっています。
24時間持続血糖測定(FGM,CGM)について
昨今、24時間に渡り血糖測定を行える機器が開発され、1型糖尿病のように血糖が不安定になりやすい糖尿病患者さんにとっては非常に有用なツールとなっています。その中で、代表的なFreeStyleリブレとDexcom G6について、患者様への情報にて詳しく紹介していますので参考にしてください。
1型糖尿病の患者様及びその家族の方へ
当クリニックでは上記の治療についてすべて対応可能となっております。糖尿病専門医だけでなく、糖尿病看護認定看護師、管理栄養士などのスタッフとともに、患者様に寄り添った治療を心がけております。また患者様のライフステージに合わせて治療法を柔軟に変更していくことが大切だと思っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。